スリップリングとロータリーコネクターの違い

スリップリングとは

回転体への通電機構として古くから用いられてきたのが、スリップリングです。スリップリングは、回転体の通電部にカーボンブラシ、板バネ、ワイヤなどを押し当て通電を行う摺動式の製品です。しかし、スリップリングは上述のように摺動による通電のため、磨耗粉の発生が避けられません。発生した磨耗粉はノイズまはたアーク放電の発生、隣接回路との短絡の原因となるため、定期的なメンテナンスが必要であり、特に大電流の製品に関しては製品形状が大きくなりまた寿命が短くなる傾向があります。

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液体金属式 (水銀、ガリウム合金式)ロータリーコネクターとは

液体金属式ロータリーコネクターは、回転軸と固定側の間隙に水銀などの液体金属を充填し、当該液体金属を介して給電する回転接続用コネクターです。この方式では通電部での摺動がなく、ノイズのない製品を達成しています。また接触抵抗が小さいため大電流をコンパクトに通電可能です。

一方でこのタイプの製品は液体金属をOリングなどで封止しているため、この部分においては摺動回転となるため、回転トルクが大きく、また封止部からの液体金属の漏洩や、隣接回路との短絡などの問題があります。また使用可能な温度範囲が狭いことや、真空環境、振動環境での使用できないなど、使用環境に制限があります。またユーザーの仕様に合わせた特注製品の製作は困難で、基本的には標準品を使用することになります。

最近では水銀の代替としてガリウム合金を使用した製品もありますが、ガリウム合金は非常に活性な金属であり、接触している金属(この場合回転体素材と静止体素材)との間に容易に別の化合物を生成するため初期に設定していた合金の混合比率が変化し、このことによりガリウム合金の凝固点が変化し、場合によっては常温で硬化するとういデメリットがあります。